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08年02月04日[IAMAS2008コラム]先生の目線:第四回

二月に入りいよいよ卒展も今月末ということで、「先生の目線」第四回は先日行われたアカデミー卒業作品審査の感想をDITコースの古堅真彦先生にいただきました。「ちょっと辛辣なこと書いていますが」と本人が言うだけあって、学生には少々耳が痛いコメントになっているかもしれません。。。

[古堅先生のコメント]

先週末が卒業制作の提出締め切りだった。そして,今週はその審査をしている。まだ展示を見ただけで、すべてのプレゼンテーションは聞いていないので、結論を述べるのは時期尚早だが、今の段階での感想は「今年は完成率が低い...」である。
先に断っておくが,これはあくまで全体的な所感であって,個々の作品には完成率の高いものももちろんたくさんある。
個々の作品の責任追及はプレゼンテーション等の場に任せるとして、ここではその全体の風潮について考えてみたい。
長年いろいろな学校の卒業制作を見ていると「流行」のようなものを感じるときがある。5、6年前はいわゆる「画面もの」が全盛だった。FlashやJavaなどのソフトウェアを使って自分の頭の中の概念を具現化するという試みが多く行われた。そして2、3年前はその揺り戻しなのだろうか「本」や「装丁」という「紙」を中心に見据えた作品がとても多く見られた。そして今はその流行が去り、非常に混沌としていると思う。今年は完成率が低いと先ほど書いた。「率」が低い、つまり自分が広げた風呂敷が大きすぎてそこまでたどり着けなかったという感じを私は持っている。以前であれば、最後はFlashに落としこもうとか、本にしようという最終形態ありきで制作していたが、今年に限ってはその最終形態をどこに持っていくかで迷い、たどり着けなかった作品が多かった感じがする。これは単に学生側の責任ではなく、指導する側も重く受け止めておかなくてはいけないと思う...
ひろげた風呂敷が広い分、完成させれば面白い作品ばかりである。これから卒業制作展まで約1ヶ月、学校への提出には本当の意味での「完成」に間に合わなかった作品がどのぐらいまで完成するのか。たぶん、学生自身が一番重く受け止めているはずなので、完成率は飛躍的に向上してほとんどの作品が最初に言っていた完成にたどりついているはずである。たぶん。それまで私もいろいろ見ますので。学生の皆さん、がんばってください。


岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー

DITコース 准教授

古堅 真彦

 

古堅先生、ありがとうございました。