本プロジェクトは参加者各自の選んだテーマを巡って、「作る」「伝える」「考える」の3つの過程を循環しながら新しいクリエイションのあり方を模索します。
現代社会の抱える大きな問題のひとつにアカデミズムとポピュリズムの乖離が挙げられます。研究の場と社会との接点においてそれは、専門化を進めれば進めるほど人に伝わらなくなるジレンマとして表れています。
一方で、どんなに些細な考えや発見でも、誰が?誰に?どのように伝えるかでその意味合いが重大なものとなる事があるように、メディア表現を研究する上では、表現の内容を問うことが重要なのはもちろんのこと、いかに伝えるかという問題も無視することは出来ません。そのため、ここではクリエイションを「作る」「伝える」「考える」の連続したプロセスとして捉えて実践的に取り組んでいきます。
制作にあたっては「アート」「デザイン」「エンターテイメント」「エンジニアリング」という既存のジャンルから想起される「らしさ」や「~であるべき」にとらわれることなく、各自の興味を存分に掘り下げ、人や社会とコミュニケーションをとる事に専念するため、TOY(おもちゃ)という枠組みを設定して進めていきます。
同様に発表についても従来の発表形式にこだわらず、各自のテーマに応じて商業施設?公共空間?学校?家庭などざまざまな場と人々を対象とした発表と対話の機会を設定し、TOY を通じて広く人々や社会とのコミュニケーションを試みていきます。
これらのアプローチは必ずしもそれぞれのジャンル?専門領域を軽視するものではなく、最終的には各文脈に照らして再評価し、自分の行ったクリエイションを位置づけることを想定しています。そのために折りを見て学内外から各領域のスペシャリストをゲストとして招き、コメントやディスカッションを行います。