普段「きくこと」をどれほど意識しているでしょうか。「きくこと」は人と人とが関係する全ての営みの土台だといえます。そして、「きくこと」は私たちの研究や表現活動においてもとても重要です。個人のナラティブから公人のインタビューに至るまで、リサーチャー、フィールドワーカー、アーティスト、アーキヴィスト、エンジニアなどが、「きくこと」の実践を行っています。一方、「語り」は、語り手と聞き手の相互行為による共同生成でありながら、「語り」に注目が集まり、「きくこと」に対してはほとんど議論されてきませんでした。実際、多くの人たちにとって「きくこと」は受動的と思われているのかもしれません。また、「きくこと」は過去や現在に関わる行為であって、それが未来へつながるとはあまり考えられていません。本プロジェクトでは、「きくこと」を表現技法として位置づけ、その方法論や実践、哲学的意義にアプローチすることを通じて、自発的で想像的な行為として考えていきます。
研究代表者 : 金山智子
研究分担者 : 吉田茂樹、松井茂