プロジェクト技術演習(レーザー)
2017年4月24日(月)「プロジェクト技術演習(レーザー)」をイノベーション工房で実施しました。 「プロジェクト技術演習」は、木工?金工加工などの実践的なスキル習得?デジタル工作機器の利用方法を学ぶことを目的としたオムニバス形式の科目です。
主に1年生が研究活動で学校環境を利活用するために受講します。
「プロジェクト技術演習(レーザー)」は、赤外線域のレーザー光線を材料に照射して切断や彫刻加工するレーザー加工機を対象としています。
IAMASでのデジタル工作機器の使われ方
レーザー加工機をはじめとしたデジタル工作機器が利用できる施設や学校はここ数年で増え、「fabcross」の調べによると全国でデジタル工作機器が利用可能な「ファブ施設」が120カ所あるそうです。(参照|https://fabcross.jp/topics/research/20161129_fabspace.html)
IAMASでは2009年3月にレーザー加工機を導入し、レーザー加工機をはじめとしたデジタル工作機器を利用した研究が数多く行われています。
例えば、デジタルファブリケーションの利点である少量多品種の加工に着目した2013年卒の今井久嗣さんの「Kさんのための自助具」や2017年卒の篠田幸雄さんの「教材自作部」といった福祉に関連した修士研究が行われています。
その他、手仕事とデジタルファブリケーションを組み合わせた持続可能なスモールビジネスのための新しい考え方を探求する「Craft, Fabrication and Sustainabilityプロジェクト」、現状の社会課題を抽出し、未来を見据えたプロトタイプの実現と、それによる未来像の創出、そしてプロトタイプの現実化を念頭に活動する「あしたをプロトタイピングするプロジェクト」といったプロジェクト研究でもデジタル工作機械で試作や制作物を作り出しています。
研究のメインテーマとしてデジタル工作機器を扱っていない場合でも、販売されていないような小さなパーツ制作、ハンドツールを効率的に利用するための治具づくりなど、制作物の見えない部分で多く利用されています。
授業の意図
この講習では操作方法を覚えるだけでなく、レーザー加工機の仕組みを理解した上で、どのような加工ができるのか、利用する際に気をつけるべき点は何なのかということを知る機会としています。
例えば、同じ彫刻加工でも「大量に早く彫刻加工をする場合」と、「完成時の仕上がりの綺麗さを求める場合」では設定方法が異なります。また表現方法として機械メーカーが想定していない利用方法をする場合も、機材の仕組みをきちんと理解しておくことで様々なチャレンジをすることができます。
授業の内容
授業は、事前課題と講習で組み立てています。
事前課題
- レーザー加工機の使い方の動画を見ながらサンプルデータを作る、もしくは今まで制作した加工データを工房の加工機で利用できるように編集する
- レーザー加工を利用して作られている制作物について調べる
講習当日
- レーザー加工機の仕組みについて知る
- 2種類のレーザー加工機の操作方法を学ぶ
- 自分で加工する素材を選び、決められたサイズ内で加工データをつくる
- 同じ加工データで2種類素材を加工する
- 加工に関しての注意点について学ぶ
事前課題は2つあり、ひとつは動画で基本的なデータ作成方法や操作方法を習得しました。もうひとつは、関心のある物事と加工機の関連について考えることを目的に、レーザー加工できる素材やレーザー加工を利用した制作物の調査を行いました。
講習では、課題では出されなかった素材や加工方法の一例として「糊付きスチレンボードに印刷物を貼り、加工位置を合わせ切断加工をする」というデモを行ったあと、グループに別れて事前課題でつくったデータの加工を行いました。その後、授業内で個別に加工データをつくり、異なる2つの素材を加工しました。昨年までは未経験者を想定した講習としていましたが、今年は利用経験がある学生は基本的な利用方法の他、加工設定値の変更を想定したデータづくりと加工を行いました。
授業を終えて
事前課題を設定したことで、経験者と未経験者のスキルの差を縮めることができ多様なキーホルダーができあがりました。レーザー加工を利用した制作物を調べていたため、初めての利用にも関わらず複数パーツを組み合わせるという調べた手法を利用したキーホルダーを作る学生もいました。また経験者には加工設定値を変更する課題を与えたことで、より複雑な表現が生まれ、未経験者への刺激になったと思われます。